10月14日に小田原三の丸ホールでジョイント・コンサートの収録をしてきましたた。この演奏会は、ソモラ・ティボールさんのヴァイオリンリサイタルとブダペスト ヴォノーシュトリオのコンサートと2部構成となっており、ゲスト・ピアニストに藤井亜紀さんを迎え、多くのお客様が熱演を楽しまれました。
ヴァイオリンのソモラ・ティボールさんはハンガリーのブダペスト出身。150年続くジプシー音楽一家に生まれたそうで、これまで世界の主要都市で、室内楽コンサート、音楽フェスティバルに出演されてきました。現在は、日本を拠点として精力的な音楽活動をされています。
ゲストの藤井亜紀さんは、バロックから現代曲まで幅広いレパートリーを持ったピアニストさんで、1843年製プレイエルでショパンのエチュードを収録したCDアルバムのレコーディングからのお付き合いです。近年は弾き振りによるバッハのチェンバロ協奏曲全曲シリーズや、ブラジルと英国の現代作曲家から献呈された作品の収録など、国境を越えて幅広く活躍されています。
そして、今回のコンサートを主催された、ブダペスト ヴォノーシュトリオは、前述のヴァイオリンのティボールさん、ヴィオラの白井英峻さん、チェロの白井彩さんで結成された弦楽トリオです。ハンガリーリスト音楽院で研鑽された白井英峻さん、サヴァリア交響楽団、ブダペスト市立ズグロー交響楽団を経て、2020年に完全帰国された白井彩さんと、ブダペストを軸に、このトリオならではの個性溢れる響きでファンを魅了しています。
小田原三の丸ホールは2021年9月に竣工された新しい施設。小田原城を目の前に望む近代的なデザインが印象的です。大ホール、小ホールに加え、展示室ギャラリー、練習スタジオ、フリースペース、キッズスペースなどを備え、小田原地域の芸術文化創造活動の拠点として親しまれています。
演奏会場となった小ホールは、高く天井まで届く巨大な反響板を備え、奥行が深い広々したステージが特徴的で、室内楽の演奏には程よい残響だと思いました。残念ながら吊りマイク装置はありませんが、スタンドを客席最前列に立ててメインマイクとしました。
【プログラム】
サン=サース:ヴァイオリン ソナタ ニ短調
ラフマニノフ:2つのサロン風 小品より「ロマンス」
サラサーテ:サパテアード
コーダイ:インテルメッゾ
ポンセ:エストレリータ
ブラームス:ピアノ四重奏曲
~アンコール~
ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番
第1曲のサン=サースのソナタと最後のブラームスの四重奏曲の大曲の間に挟むように、美しい響きが溢れる小品がちりばめられたバランスのよいプログラミングでお客様も弦楽の響きを満喫されたのではないかと思います。
ブダペスト ヴォノーシュトリオと藤井さんは初共演とのことですが、音楽の熱量の高まりや、呼吸のタイミングも見事で、また共演の機会を楽しみにしたいと思います。
収録した中から一部をご紹介します。
サン=サース:ヴァイオリン ソナタ ニ短調 Op.75(3楽章、4楽章)
ブラームス:ピアノ四重奏曲 Op.25(3楽章、4楽章)
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